本当はちょうど今読んでいる本に絡んだ話を書こうと思っていたんですが、さすがに読み終わっていない本の紹介をするのもどんなものか、ということで、このあとに繋ぐ意味でも少し電子書籍について書いてみたいと思います。今週もBookbiz Wednesday担当の大塚がお届けします。


"SONY 電子書籍リーダー Wi-Fiモデル Reader ブラック PRS-T2/BC" (Sony)

■電子書籍ってどうなの?

これまで何度かの電子書籍の波が来ていますが、昨年11-12月にAmazonから日本向けのKindleがリリースされ、初めて電子書籍の幕開けという感じではないでしょうか。これまでにもiPhoneやiPad、あるいはAndroidのアプリでもKindleは使えましたが、やはり日本のタイトルと日本語が普通にハンドリングできる専用機が登場したということではここがスタートラインだと思います。それ以前にSONYからはREADER、楽天からはKoboとそれぞれ専用機が出され、その都度話題にはなっていたもののKindle待ちの状態は続いて気がします。それだけAmazonの影響力というか、期待値が高かったように思えます。実際に僕の周りでもそれほど普段から本を読まない人でもKindleを買って「これから読むぞ!」と気合いが入っていた人も結構います。

では実態はどうかというと、使いこなしているまではいかなくても普段の生活にKindleや電子書籍が組み込まれている人は意外と少ない気がします。正確には「あまりいない」に近い感じです。

■どれを買えばいいの?

僕は周りの人から「読書端末に何がいいのか」と電子書籍の相談を受けることが多いのですが、その時にはこう答えています。

年間50冊以上本を読むならSONY READERを買ったら

って。そうでないなら普通に書店に行って普通の本を買った方がベターだと思っています。その理由は皆さんが期待しているほど電子書籍になってもタイトルの値段が安くなっていないから(安くしろ、とは思っていません)。多くの人は印刷費や流通コストを考えると安くなって当然、と思っていますが、単行本は結構安くなっているものの、文庫に関してはほぼ同じで、リリースされるタイミングもリアルな本に比べると遅いのが通常です。これは出版社の考え方や大人の事情などがいろいろあってそうなっていると思いますが、年に10冊程度しか本を買わない人にとっては専用機を買う分だけコストが増える計算になります。

じゃ、「iPhoneやiPadで読むよ」という人は無理せずに普通の本を読んだ方がいいです。大きな理由の一つにiPhone向けの電子書籍はiOS向けのフォーマットやアプリになっているため、物理的に劣化することはないけど10年後も読めるかどうかは分かりません。アプリが引き続きOSのバージョンアップに対応する保証はないし、その後もiOS端末を使っているかどうか分からないから。実際に僕もいくつかiPhoneで読むアプリ版の電子書籍を買いましたが、そのほとんどは「今は読めない状態」になっています。

電子書籍を構成する要素として、フォーマット、プラットフォーム、DRM、書店などがあり、当面安心して利用できる選択肢としてはSONYかAmazonになると思います(そもそも楽天は信じていないので)。理由は単純で、H/Wからプラットフォーム、グローバル対応という面を考えればこの2つの選択に自動的になり、タイトルの充実度合いから多くの人にはSONY READERで電子書籍を読むことがトータルの満足度が高い気がします。ただし、SONYの残念なところは海外の作品を読むことができないところ。ということもあり、僕は日本の作品はSONY READER、原書はKindleという感じで使い分けをしています。ちなみにH/Wは圧倒的にSONY READERの方が使いやすいですね。ハードキーがあることで混雑している電車の中でも楽に読むことができます。実際に先月は14冊、その前も14冊SONYのReader Storeから電子書籍を購入して読了しています。

予想以上に書いてしまったので、来週はどういう風に使っているかをお伝えしますね。