どうも電子書籍に慣れてしまうと自然と電子書籍の中で新しい本を選ぶ習慣がついてしまい、結果として書店に足を運ぶ機会が減ってしまっている。普通の書店にはそれでも構わないが、気になる「あの書店の平台には今なにが並んでいるのか」はいつも心のどこかで気になっている。なので、今週はその気になる書店で買った一冊を紹介しよう。
今週もBookbiz Wednesday担当の大塚がお届けします。
"さよならは小さい声で 松浦弥太郎エッセイ集" (松浦 弥太郎)
■至福の時間
最初にお断りしておきます。
この本はビジネス書のコーナーにはありません。ですが、仕事に向かう気持ち、コンディションを整える、という意味では重要なポイントを突いているので多くの人に読んで欲しいと思っています。特に僕は個人的に松浦弥太郎ファンということもありますが、中身の薄い本を何冊も読むよりかは松浦弥太郎の文章を読んで自分自身を清めた方が絶対にいいと思いますよ。
話が脱線したので元に戻すと、この本は松浦弥太郎のエッセイ集の最新刊です。文章も上質なんですが、所々に登場する写真がまたいいんですよ。この写真も松浦弥太郎自身が撮っています。
本書を手にとった理由はその帯のコピーでした。
「年齢を重ねるとは、美しくなるということ」。
これだけでそのままレジに並びました。
実際に読んでみるとそれは至福の時間の中にいるような気持ちにさせてくれるエッセイばかりです。
■上質な情報とは
このコーナーに相応しいエッセイの一つを紹介しましょう。
「情報との距離を保つ智恵」というタイトルのお話。松浦弥太郎さんの友人でIT企業でプランナーをしている人が主人公。彼女はIT企業で働いていながらも特別デジタルメディアに詳しいわけではなく、どちらかといえば手仕事が多いと松浦さんに話しているようだ。そんな彼女の魅力は、知らないことを「知らない」ときちんと言えて、知っていることはどこまでも深い知識を持っていて、その知識が正しい情報であること。彼女は余程のことがない限り、携帯電話でインターネットに接続することはなく、自宅でPCを開くこともまれだそうだ。
そんな彼女に松浦さんはどうすれば上質の情報を手に入れることができるのかを問うと、
上質な情報を持っていて、真実を述べることができる立場にあり、なりよりも人間として信用できる、誰か個人からの情報を得るしかない。ある意味、それこそがこれからわたしたちが生きてゆくためのライフラインのひとつになる、信用できる情報源は、五人もいれば十分であろう。
と。本当にそう思う。多くの人がネットの検索で出てくるものが情報だと思っているけど、やっぱり情報というのは一次情報につきる。あるいは一次情報に匹敵する「信頼できる人」からの情報。
では、どうしたらそんな人を探し出せるのか。その答えはこの本を読んで答えを見つけてください。