今週も先週に引き続きBookbiz Wednesday担当の大塚が「電子書籍」に関して書いてみます。

■実は専用機を持っているのに使っていない人が多い

電子書籍専用機を持っていながらあまり使っていない人が周りにも結構いてビックリしています。iPhoneやiPadに比べれば安価ではありますが、それでも紙の本はそんなデバイス無しで読めることを考えるとちょっとした先行投資には間違いないのに。そこで、「何で使わないの?」と聞くと「何を読んでいいのか分からない」と言われることが多く、僕の中では当初不思議な感覚でした。でも今は、「きっとこういうことなんだ」と理解しています。

実は多くの人はAmazonじゃないリアルな書店に足を運ぶ時、自然と書店で独自で作られている「話題の本コーナー」や「文庫最新刊」の棚や平台を見て、なんとなく何か面白い本がないかなあ、と物色しているはずです。あるいは目的の本があり、体裁(単行本とか文庫)や出版社が分かればその棚を探すか、タイトルだけであれば今は検索機を使って場所を探しだしているかも知れない。実は電子書籍の世界では前者のようなものはなかなか難しい。

KindleのTOPページ
これがKindle Paperwhiteのトップページの画面だけど、そんな「話題の本」のコーナーはない。iPhoneやiPadのKindleアプリはそもそも何もなくて、いきなり検索画面だけ。PCのブラウザでGoogleを開く時なら何かしらの目的があるからキーワードを入れられるけど、ほとんどの人はそれこそ何をキーワードで入れればいいか迷いますよね。じゃ、作家の名前を入れれば・・・・と、「東野圭吾」と入れてみました。その結果がこれです。

「東野圭吾」検索結果その1
これで少なくともKindleで読める東野圭吾の作品がないのは分かりますが、入力した文字を間違えたか、と自分のことを疑ってしまう人が多いのではないでしょうか。だって、あれだけ作品数があり、あれだけ売れている作家なんですから。ああ、これは自分のKindleの中ですね。
では気分を変えてKindleストアの中で「東野圭吾」を検索するとこんな結果です。

「東野圭吾」検索結果2
間違いなく「東野圭吾」を入れたのに、トップは夏目漱石の「坊っちゃん」です。
実はどこの電子書籍書店に行っても東野圭吾作品はありません。事実はそうなんですが、この状態が続いたら「もういいや」ってなりませんか?

■僕の電子書籍の読み方

では、僕がどんな風に電子書籍を利用しているかをお教えしましょう。
まず単行本は基本的に買いません。特に小説の単行本は装幀や帯も含めて一つの作品だと思っているので、これは実際の本を買います。主としては文庫を買います。これは単行本のように一冊一冊体裁が違うわけではなく、中身の価値に値段がついている、と思っています。一つ残念なことは文庫の最後にある解説が電子書籍のほとんどにはありません。でも、本棚が溢れるのを防ぐには電子書籍は向いています。かつては溢れるとブックオフに持っていってましたので、この部分も解放された気がします。
次に読む場所ですが、ほとんどは移動中の電車の中ですね。そのため、軽ければ軽い方がよく、片手でも操作(ページめくりとか)ができることが重要なのでSONY Readerが便利なわけです(ハードキーで操作できるので)。あとはベッドに横になりながらが多いですね。この時も本のようにバラけないことと重さは非常に助かっています。
最後に本の選び方について。SONY Readerでは基本的にReader Storeというソニーが運営する電子書籍書店を利用することになります。ここから週に1〜2回メルマガがくるので、その時に興味を持った作品はPCかMacで「キープリスト」に入れます。それから毎週金曜日に新しい電子書籍が追加になるので、金曜日に新刊をチェックして同じように「キープリスト」に入れます。そして、読み終わった段階で「キープリスト」を確認して、その時の気分で一番フィットする作品を購入する、という流れで読み続けています。「キープリスト」には常に4-5冊の候補があり、気に入った作品はそのシリーズを読んだり、作家繋がりで他の作品を読んでみたりしているので、「キープリスト」が空になることもありません。
ちょっとは電子書籍に興味を持ってもらったでしょうか。