お久しぶりです。インターンのnaoです。

コワーキングスペースの広さに関するdeskmagの記事、The different strengths of small and big coworking spacesをご紹介します。Global Coworking Surveyということで、世界中のコワーキングスペースで働くひとたちにアンケートを行ったようです。さて、コワーキングスペースは広い方がいいのか?せまい方がいいのか?

ざっくりまとめるとこんな感じのようです。

  • 新しい人脈を得る機会が多いのは?
    →せまいスペース(デスク数10以下)で働くひとと、広いスペース(デスク数60以上)で働いているひと。中間ではあまり機会が得られない。
  • チームで働いたり、他のコワーカーとのインタラクションを楽しむ傾向が高いのは?
    →せまいスペースで働いているひと。広くなればなるほど、他のコワーカーとの接触は減る傾向にある。
  • 収入が多いのは?
    →やや広いスペース(40-59席)で働いているひと。せまいスペースで働くひとが最も収入が低い。

ちなみにこの記事では、最後の収入に関して得られた調査結果を、社会学者であるMark Granovetterの理論と関連づけて説明しています。彼の著作「The Strength of Weak Ties – 弱い紐帯の強さ」で示された、ゆるいつながりの人脈(この理論においては弱い紐帯と呼ばれている)の利点に関する理論です。

ソーシャルネットワークに関心のある方はご存知かもしれません。転職や新しいプロジェクトなど新しい仕事の種を持ってきてくれるのは、近しい友人や家族ではなく、久しぶりに会う知人や、友人の友人など、ほんの少しの接点を持つ人たちである…ものすごくおおざっぱに言うと、そんな内容です。

広いコワーキングスペースでは、それほど親しくない人と顔を合わせる機会が多いため、仕事を得やすい…この記事内ではそのような結論を出しているようです。

ただ個人的には、せまいコワーキングスペースを好む人たちは、そこで働いていることに関する満足感が高いため、より高い収入を求めるよりも居心地のよさを求めているのでは? なんて思います。完全なる私見ですが…

詳しくお読みになりたい方は、元記事をどうぞ! Part 6: MacOS vs. Windows – Firefox vs. Chromeなんてタイトルだけでおもしろそうですよね。

The different strengths of small and big coworking spaces

ちょろっとでいいから日本語で読みたいな。そんなあなたのためにへなちょこ訳を用意しました。以下、あまり期待せずに読んでください…


コワーカーはせまいコワーキングスペースを好む。しかし人が望んでいるものだけがいいとは限らない – 先週から残っているイースターエッグの山を考えてほしい。せまいスペースが快適である一方で、広いスペースは人脈を広げる機会を提供してくれる。利点と欠点を評価するために、我々が行ったグローバルコワーキングサーベイの結果と、有名なネットワーク学者のMark Granovetterが提示したいくつかの概念をあわせて紹介しよう。

グローバルコワーキングサーベイでは、狭いワークスペースと広いワークスペースの違いが明らかになった。新しい人脈が作られる機会が最も高くなるのはものすごく狭いスペースかものすごく広いスペースであるが、その間の広さではわずかに機会は減る。

調査の回答者たちにたずねたのは、コワーキングスペースに参加することで得られた役に立つ人脈はいくつあるかということだった。デスクが10以下のスペースに置いては、役に立つ人脈の数が10であった。デスクが10から19になると、5とがくんと下がる。そして60以上のデスクがあるスペースでは7と増える。知り合えるコワーカーの数が多いからだろう。

チームで働いたり、他の人とのインタラクションを楽しむ傾向は、スペースの広さに反比例する傾向が見られた。スペースに参加してからワークスタイルがどのように変わったかを回答者に尋ねた結果、他の人とのいいインタラクションがあると答えたコワーカーの割合は、せまいスペースのでは95%、広いスペースでは84%だった(それでも十分高い)。チームで働く頻度が増えたと答えたコワーカーの割合は、せまいスペースでは74%、広いスペースでは53%と、より劇的な違いが生まれている。

せまいスペースのユーザーは以下のような傾向が見られた。より整然としたワークスペースで働いており、家でリラックスしており、ひろいスペースで働くよりもシンプルでいいと考えている。家でリラックスするという質問のみ中間の広さのコワーカーが狭いスペースのコワーカーよりも高い値だった。

これまで、私たちはソーシャルな要素について見てきた。しかし経済的な影響を考慮すると、せまいスペースの魅力は失われてしまう。40-59席というやや広いスペースで働くコワーカーがもっとも収入が多く、コワーカーになってからの生産性が高まったと答えている。中間サイズや巨大スペースのコワーカーについても、せまいスペースで働くコワーカーよりも収入や生産性が高い。

これらの結果が示しているのは、せまいスペースで働くコワーカーはひとりひとりの強いつながりの人脈(紐帯)をもっている一方で、より広いスペースで働くコワーカーはゆるいつながりの人脈を幅広く持っているということかもしれない。

この結果は、社会学者であるMark Granovetterの理論にも適合している。その理論とは、彼が著作「The Strength of Weak Ties – 弱い紐帯の強さ」で示した、強いつながりの人脈とゆるいつながりの人脈のそれぞれの利点について書いたものである。Granovetterが弱い紐帯と呼ぶのは、知人との薄く広いつながりであり、彼が強い紐帯と呼ぶのは、親密で長く続いている関係である。

強い人脈は個人に取って多くの時間を費やすことを意味しており、お互いにとても親密であり、信頼し合っており、共通の価値観を持っており、頻繁にやりとりを行っている。これはPierre Bourdieu, James Coleman, Robert D. Putnamのソーシャルキャピタルのセオリーとも似ている。強い紐帯ではインタラクションの質と量がともに大変高く、お互いにやりとりを楽しんでいる。

グローバルコワーキングサーベイではコワーカー間の関係の質については調査していないが、量に関しては、ひとつのワークスペースで人といっしょに費やす時間の長さや、サポートしてくれるコワーカーの数などの有効なデータが明らかになっている。

せまいスペースで働くコワーカーは、人といっしょに費やす時間が著しく長かった。毎日だと答えた人は75%であり、85%が自分用の専用デスクを持っていた。対照的に広いスペースでは、フレキシブルデスクの傾向が高かった。せまいスペースのユーザーは自分自身のスペースに愛着を感じており、それゆえせまいスペースで働くコワーカーはお互いに強い結びつきをもっていると解釈できる。
こんなことも明らかになった。せまいスペースで働くコワーカーは同年代であることが多く、教育レベルもほぼ同じ、収入もほぼ同じである。これらの類似性により、つながりがより強くなるといえるだろう。

しかしスペース内部でのつながりが強い一方で、それ以外の人とのつながりは違う。広いコワーキングスペースにおけるコワーカーは毎日たくさんの人と顔を合わせており、特にフレキシブルデスクが採用されている場合はよりその傾向がある。そのためインタラクションそのものの意味はそれほどないかもしれないが、新しい仕事を得る機会は多くなるだろう。彼らはより多様性の高いコミュニティを持っており、何か特別な助けがいるときにすぐに出会いがある。

この結果は、Granovetterの強い紐帯と弱い紐帯の理論を補強したといえる。いっしょに働く時間が少ない人は、共通の価値観を共有しているとしても、新しい情報へのアクセス手段を提供してくれる。なぜなら、彼らは様々なソーシャルコミュニティに参加しているからだ。かれらによって新しいプロジェクトを見つけることができると、Granovetterは”Getting a Job”で説明している。

せまいコワーキングスペースが快適さを提供してくれる一方で、広いスペースは機会を提供してくれる。完璧な大きさがこれだとは一概に決めることはできないが、いいスペースの条件は次のようなものだろう。たとえ毎日そこで働かないとしても、ユーザーに対して核となる価値観を与えてくれて、人脈を広げる機会を提供してくれる。いいコワーキングコミュニティは、強い紐帯と弱い紐帯の両方に基づいているのだから。


以上、naoでした!