サワディー クラッ。 コワーキング会計士です。
またしてもバンコク時間ではまだ8日だと言い張らざるをえない時間帯の投稿となってしまいました。

業種別の資金繰りについて実際の数字を使って考えてみたいと思います。
最初はオーソドックスな製造業を考えてみます。

<条件設定>
以下のような損益となる製品を生産している会社を設定します。
売上:100(出荷後1ヵ月後に入金)
材料費:20(仕入後1ヵ月後に支払)
人件費:30(当月に支給)
経費:20(仕入後1ヵ月後に支払)
利益:30
製品は生産後1ヶ月在庫となりその後出荷される。

このような会社では最大いくら資金を用意しておけばよいか想像がつきますか?
1ヶ月目:マイナス30(人件費支払30)
2ヶ月目:マイナス70(材料費20、人件費30、経費20)←最初の月の材料費、経費の支払がこの月に発生します。
3ヶ月目:プラス30(売上入金100、材料費20、人件費30、経費20)←2ヶ月目に出荷した代金が入金されます。

したがって2ヶ月目に累計100のマイナスになりますので、100の資金調達が必要です。
そしてその資金が全て回収されるのは6ヶ月目になります。
さらに通常は最初に設備投資が必要になるので、実際に必要な資金はもっと大きな金額になるはずです。

この設定は100の売上に対して30の利益ですから、なかなか儲かるビジネスのようにみえますが、それでもこれだけの運転資金が必要になるのです。

こういった資金繰りのカラクリを知らない経営者が陥る罠として、
「値段を10%下げたら倍の売上になるからそうしよう!!」というのがあります。
利益は40なので一見良さそうです。でも資金繰りの観点で見てみましょう。

1ヶ月目:マイナス60(人件費支払60)
2ヶ月目:マイナス140(材料費40、人件費60、経費40)←最初の月の材料費、経費の支払がこの月に発生します。
3ヶ月目:プラス40(売上入金180、材料費40、人件費60、経費40)
4ヶ月目:プラス40(売上入金180、材料費40、人件費60、経費40)

この場合には2ヶ月目に累計200のマイナス、それが全額回収できるのは7ヶ月後です。
これだけの資金調達ができなければ、会社は破綻してしまいます。

今回は数字の羅列になってしまいましたが、イメージを持っていただけましたでしょうか。
それではまた。