最近めっきりニコ厨になってしまったPAXメンバーの藤木です。実は「歌ってみた」などのニコニコ動画で中心になっている音楽ムーブメントを、最近のめり込んでいるnanaプロジェクトのためにリサーチしているんだ…などと言い訳してみる。

カラオケのJoy Soundのカラオケ総合ランキングを見る機会があって驚いた。1位は「千本桜」(本エントリ執筆時点)というボーカロイドの「初音ミク」の楽曲だ。こうしたマスメディアに出てこないような音楽がAKB48のような有名人の楽曲を抑えトップに立っているという面白い事態…何処かで地殻変動が起きているような。

「初音ミク」がフィーチャーされたGoogle Chromeのプロモーション映像で〆として出てくるのが”Everyone, Creator“というコピー。実際、最近は音楽作品や映像作品作成は個人でも創りだすこと、発表の場を得るためのハードルが恐ろしいほど低くなっており、やる気や才能、努力などがあれば、無名の人物であっても多くの人に支持される作品を作り出す、誰でもクリエーターになることも可能になっているのは「千本桜」を例にしてもわかる。

nanaメンバーの辻川さんのNHKで放送していた10歳と12歳の兄弟がSNSサイト「JackieFame」を作ったという話題から以下な話に。

これまでコストとかリソースとかを先に考えて「ものづくり」ありきな考え方をしてきた既存社会人から、やりたいことがあればそんなもの世の中に山のようにあるリソースの中から選んで利用するっていうのが当たりまえ世代が生まれつつあるのかもしれない。

「彼らは親にSNSサイトの利用を禁止され、じゃあ作っちゃえと作ったらしい。」

同様に「アイデアの実現が簡単すぎる」と語っているのは「nanapi社長ブログ」の「アイデアを実現するだけじゃダメな時代に」というポスト。

理由の1個は、アイデアの実現が非常に簡単になったことです。クラウドによるインフラコストの大幅な変化や、いけてるフレームワークの存在、プログラム言語の学習コストの低下、などが起きて、アイデアを実現するだけでは、かなりの人ができるようになっています。

音楽は世相を表すと言われるが、音楽産業の低迷と、冒頭にあるような初音ミク系コンテンツの勃興はまさにそういった事だろう。
また初音ミクな「ボーカロイド音楽」分野のニコニコ動画でのチャート順序は毎日めまぐるしく変わっている。そうしたサイクルの速さもこれからの姿だろうか。

コンテンツ分野にとどまらずネットサービス分野でも、参入障壁は強烈に下がっている…JackieFameのように、アイデアと実力さえあれば、実現可能になる。これから今までにも増してどこからか出てきたアイデアが形となり、市場を席巻し、いつの間にか消えるというような。”Everyone, Creator“な社会は実はいっときも気を抜けないような、だけどチャレンジャーには面白いような、とても激しくもエキサイティングな環境になっていくんだろうなぁ。

*参画しているiPhoneベースで作る歌声を共有するサービス「nana」のFacebookページが次第に充実してきています。よろしければ「いいね!」していただければと。