今週はこうしてキーボードに向かうまで全く違う作品の紹介をしようと思っていました。でも、4月になったということもあり、初回に紹介したダニエル・ピンクの『フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方』のところでちょっと書いた『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』をちゃんと書いておこうと思って、今回はこれでいきますね。Bookbiz Wednesday担当の大塚です。

 


"ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代" (ダニエル・ピンク)

実はこれまで3回は通しでちゃんと読んで、時々部分的に読んでいるぐらい僕の中ではバイブル的な一冊がこの『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』なんです。リズミカルに読みやすいということもあるけど、内容が今でも全く古びていなく、逆に今の方が納得感が高いと感じる部分が多い。

少し具体的な部分を引用しながら書いていくと、いわゆる格差社会(本書の中では「M型社会」という表現になっているけど)になっていくとどうなっていくのか。

(「一億総中流社会」から真ん中が薄い「M型社会」に移っていく中で何をしないといけないか。)

一つは、「よその国、特に途上国にできること」は避ける

二つ目は、「コンピュータやロボットにできること」は避ける

三つ目に、「反復性のあること」も避ける

夜中の都心部のコンビニをのぞいてみて欲しい。おそらく多くはアジアを中心とした外国人の店員さんによって運営されている。本書は2006年に出版されたので、その当時は「仕事を奪われている感」はこの分野に関してはそう感じていなかっただろう。今はどうだろうか。彼らの労働力がなければお店の運営がままならない気がするし、少しばかり大げさにいうと、都市機能の一部を彼らに握られつつある感じがする。

二つ目。僕の文章を読んでくれている人たちの中で、最近銀行の窓口でお金をおろしたことがある人はどれぐらいいるだろうか。銀行ATMはもちろん、コンビニのATMでしか現金をおろしていない、という若者も多いかも知れない。その結果どうなるだろうか。オペレーションのための人員は必要なくなり、そもそもその職域が存在しなくなる。

「反復性のあること」はコンピュータが一番得意とすることである。

さあ、自分の仕事と照らし合わせてみてください。かすっていたらよく考えた方がいいですよ。

■「付加価値」とは何か。

「ハイタッチ」とは、他人と共感する能力、人間関係の機微を感じ取る能力、自ら喜びを見出し、また他の人々が喜びを見つける手助けをする能力、そしてごく日常的な出来事についてもその目的や意義を追求する能力などがある。

このフレーズはすごく心に残っているもので、いつも意識しています。僕がそのために実践していることの一つに。ファーストフードは除いて、ご飯を食べる場所などでお水やビール(あ、夜ね)、おしぼりを持ってきたくれた時に素直に「ありがとう」っていうこと。そうすると相手も気付いてくれるし、自分のスイッチも入る(決してナンパしているわけではないですから)。面白いもので良いところもそうじゃないところも感じるようになり、それをストレートに言えるんですよ。でも最初のコミュニケーションがあるから、嫌なこともちゃんと聞いてくれるし、コミュニケーションの量が増すから更に良い関係になる。対お客さんにも同じ。お客さんからいっぱい課題解決のヒントがもらえるし、一緒に解決することで更なる共感を得ることができる。

 

仕事だけじゃなく、普段の生活を見つめ直す教本としてそばに置いて何度も読み返す価値があります!